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執筆者の写真はやしひろこ

「選ぶ」ことは「生きる」こと。小児病棟でのこどもへのタッチケアレッスン&アロマケア


午後からは、小児病棟でのタッチケアとアロマケア活動へ。 台風の中ですが、雨の中自転車で病院へ。 ずぶ濡れになったけど、今日もこどもたち、 お母さんたちが本当に楽しみに待っててくださったので濡れた甲斐がありました(^-^)

今日は三組の方へのタッチケアとアロマケア。

難病の先天性心疾患でおおきな手術をしたばかりの入学前の女の子。 主治医から触れていい部位についての許可をいただき、 まずはお母さんへのタッチケア。

タッチケアという名前は知っていた、というお母さん。 でも実際に体験するのは初めて。 そして、ただふれていることにどんな意味があるのか、 と疑問に思っておられたそう。

お母さんへタッチすると、涙ぐみながら 「こんなに気持ちいいんですね。誰もいなかったら、 わたしきっと泣いていると思います。 ふれられているのは肩なのに、からだも心も大切にされています 。笑顔で、こんなに優しくふれるなんて、最近してなかった。 わたしたちの手ってすごいんですね」

優しくふれられるときにこどもたちのからだで起こること。 オキシトシンホルモンの働き。 絆を深め、安心できるとからだが自らの力で調整していくこと。 自分のからだに気づき発達を助けるタッチの意味。 前腕を拘束されているので、腕への感覚を豊かにするふれ方。 拘縮のある下肢へのタッチの方法など、 お子さんの様子を見ながら、ゆったりとレッスンすることができました(^-^)


二人目は、血液の病気で長期入院中の成人前の女の子。 感染予防のための空気清浄室のベッドで待っていてくれました。 感情の起伏をコントロールすることができず、 ときには荒々しい言葉や態度を取ってしまうくらいストレスを感じているのです、 と担当保育士さんから伺ったのでアロマスプレー作りを提案してみると、 「やってみる」

甘い香りが好き、とお話してくれたので、 精油の香りを試してもらいました♪

エンビラ内なのですが、好きな香りを見つけるたびにリラックスした表情になり、 出来上がったスプレーの香りににっこり。 病棟保育士さんや主治医からは 「こんなに穏やかでリラックスするなんて。香りはすごいですね。 毎週でも、毎日でも、来て欲しいです」とおっしゃっていただきました。


3人目も血液の病気で感染予防の部屋にいる高校生。 入院して数ヶ月、まだほとんど誰とも関わることがないのだそうです。 でも、スプレー作りはとても楽しんでくれ、会話も弾みました。 食べ物の制限があるのでフレッシュな香りをとても喜んでくれました♪


治療を受けているこどもたちには、「選ぶ」ことができません。 検査も治療も食べるものも、お風呂の時間も着る服も。 ほんの小さなことも、意のままにできません。 成長期の思春期の、お母さんとずっとくっついていたい、 お友達と笑っていたい、 勉強をしていたい、そんな大切な時を生きるこどもたち。 ワガママを言えるといいのですが、それもできないことが多いのです。

小さなことを「選ぶ」ことは、大げさかもしれませんが 「誰が人生の主役なのか」につながる大切な行為になり、 精油を「選ぶ」ことは、わたしたちの想像を超えるくらい嬉しく、 自尊心を満たす行為にもなるのです。

選べないことは、無力感につながり、 心身の舵取りができないことが、澱のように心に溜まっていくように感じています。

短い時間、病院スタッフではないわたしのような立場の人間が、 香りやタッチケアを提案することだけでも、気分が変わり、 「選ぶ」楽しさを思い起こし、生きる力になれば、と願います。 タッチケアも、ふれて欲しいところを自分で選び、 ふれるふれないもこどもたちに主導権があります。

そして、笑顔で一緒に「選ぶ」経験や時間は、 こどもたちの、お母さんの、家族の、 ずっとずっと忘れられない大切な記憶になるのです(^-^)

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